屋根と住まいのお役立ち情報
屋根材の色と室内の温度関係
今年の夏も厳しい暑さに苦しめられました。10月に入った今も30℃に近い日が続きます。
我々屋根工事に携わる者は、屋根材の色による体感温度の違いを実感してまいりました。真夏には、黒色やこげ茶などの濃い色の屋根材には素手で触ることはできず、履物をはいていても足の裏が痛いほど熱くなります。逆に銀色や白色のように光を反射する明るい色のものはそのようにはなりません。
そこで屋根材の色と室内温度の関係を調べてみました。
屋根材の色 | 表面温度 | 屋根裏の温度 |
黒色 | 65~70℃ | 55~60℃ |
白色 | 45~55℃ | 45~50℃ |
銀色 | 40~50℃ | 40~45℃ |
(天気=晴天、気温=35℃)
このようなデータがあります。このように屋根材の色が屋内の温度にも大きく影響することがわかります。最近の夏季においては冷房の使用が必須ですが、上の表に示されるような屋内温度の差は消費電力の違い(省エネ)に直結します。
屋根材の色の選択や屋根塗装の色を決める際の参考にしていただければ幸いです。
※なお、上の画像は、表面温度を実際に計測したものです。
時期は9月25日、気温25℃、晴天の下での測定でした。気温が低い分、数値も低くなっていますが、同じような傾向を示していると言えます。
銀色:43.4℃ 白色:44.9℃ 黒色:68.9℃
能登・北陸地震を振り返って
元旦に北陸を襲った震災から7ヶ月が過ぎました。
屋根工事にかかわる身としましては、多数発生した建物の倒壊被害について私なりに検証してみたいと思います。
ニュースで取り上げられる被災地の画像には瓦屋根の建物が倒壊している姿が多く見られました。瓦が重いので潰れてしまったとの見方が多いように思いますが、そのことをもう少し分析してみます。
確かに瓦は板金などの屋根材に比べてみると重いです。瓦屋根の重量は瓦そのものの重量と棟のモルタルなどを合わせて平均66.8kg/㎡になります。
この重さをイメージするのに、我々にとって身近な雪の重さと比較してみたいと思います。
・瓦屋根の重量66.8kg/㎡
・固く締まった雪は1mで約550kg/㎡ ⇒ 1センチで約5.5kg/㎡
これを基準に瓦屋根の重さを積雪量に変えてみると
・66.8kg/㎡ ÷ 5.5kg/㎡ ≒ 12 で、約12センチとなります。
雪国仕様で建てられている当地の建物にとっては問題のないレベルだと言えるでしょう。
ちなみに、板金の重さは雪止めアングルなどの重量を入れると 約6kg/㎡ なので積雪量に直すと約1センチ。つまり、板金屋根の上に11センチの雪が積もるのとほぼ同じ条件になるのです。
ではなぜ能登地域において、あれほど瓦屋根の倒壊が見てとれるのか?
まず第一にあちらの地域では「犬小屋まで瓦!」と言われるほど、ほとんどの建物が瓦葺きです。加えて歴史を経た耐震基準を満たさない古い建物が多いため、あのような報道画面になってしまっているのです。
確かに上部が重いほど重心が高くなり、不安定性は増します。かといって瓦を軽い屋根材に変えれば安心かというとそうではありません。建物自体の強度によるものです。
たとえ軽い屋根材の建物でも、強度が低いものはこの画像のように倒壊してしまっています。
「保険で直せます」に注意!
最近、住宅のリフォーム工事において「保険金申請」に関するトラブルが多数発生しております。
火災保険や地震保険などでカバーできるのは、自然災害によるものに限られます。経年による消耗や劣化、錆などを原因とする傷みについては対象になりません。ですが、悪質な工事業者や保険金請求代行業者はそのような説明をすることなく「手続きをしてあげます」「大丈夫、任せてください」と言って契約をさせます。
結果、工事終了後に保険金が下りず、全額自己負担ということになったり、業者が申請した虚偽を含む内容を基に保険金が支払われた場合、何も知らず申請書に判を押した施主様自身が詐欺罪に問われるようなことも起こり得ます。また、契約後にキャンセルをしても、契約書の内容を楯に高額なキャンセル料を請求されたりすることもあります。
災害による被害が生じた際には、まず信頼がおける地元の業者に調査を依頼するのが安心です。保険の利用をお考えの場合には、調査結果を基に契約されている保険会社に直接相談されることをお勧めいたします。
悪徳業者について
新潟県、特に下越地域におきましては屋根修理業者を装う詐欺まがいの被害が広がっております。
「近くに仕事に来ましたが、お宅の屋根にはおかしいところがあるのでよく見てあげます」「点検は無料です」
などと言って屋根に上がろうとします。屋根に上がらせたら最後、小さな不具合を探し出し、時には不具合をわざと作り出して写真を撮り、
「だいぶ傷んでいます。今すぐ直さないと大変なことになります」
と言って不安を煽ります。本来であれば必要のない工事のはずが法外な見積りを出し、更に大幅な値引きをすることで契約を急がせたりします。
そのような得体の知らない業者の口車に乗ってすぐに契約などしないでください。
どうしようかと迷っても一度引き下がらせてください。そしてHP等でその業者を調べてみたり、私どもをはじめとする組合に加盟している地元の専門業者にご相談ください。すぐに駆け付けます。
≪相談先≫
□㈱中央ルーフサービス TEL:025-543-2629
□新潟県瓦工事業協同組合 TEL:0250-68-2112
瓦の防災ガイドライン工法について
地震や台風などによる災害が起こるたび、テレビなどのニュースで瓦屋根の被害の様子を取り上げられ、皆さまもご覧になっていると思います。
そこで、瓦屋根の防災広報である「ガイドライン工法」についてお話しいたします。
この工法は、阪神・淡路大震災の後に災害に強い工法として、科学者の力をお借りして「全日本瓦工事業連盟」によって、まとめられました。
この工法により施工された屋根瓦については、その後中越地震をはじめとして、東北の震災、熊本地震、あるいは関東を中心に猛威を振るった台風15号。19号でも、ほとんど被害を生じていません。
この度、この「ガイドライン工法」の有効性が国より認められ、義務化が決定されました。この工法の最大の肝は『瓦の全数止め付け』ですが、当地においては昔から銅線による全数止め付けがなされており、老朽化により銅線が切れたりしていない限り、地震・台風でも大きな被害は生じていません。
それでも屋根瓦のお宅にお住まいで心配な方は、当社までご連絡ください。より詳しくお話しさせていただきます。