屋根と住まいのお役立ち情報
能登・北陸地震を振り返って
元旦に北陸を襲った震災から7ヶ月が過ぎました。
屋根工事にかかわる身としましては、多数発生した建物の倒壊被害について私なりに検証してみたいと思います。
ニュースで取り上げられる被災地の画像には瓦屋根の建物が倒壊している姿が多く見られました。瓦が重いので潰れてしまったとの見方が多いように思いますが、そのことをもう少し分析してみます。
確かに瓦は板金などの屋根材に比べてみると重いです。瓦屋根の重量は瓦そのものの重量と棟のモルタルなどを合わせて平均66.8kg/㎡になります。
この重さをイメージするのに、我々にとって身近な雪の重さと比較してみたいと思います。
・瓦屋根の重量66.8kg/㎡
・固く締まった雪は1mで約550kg/㎡ ⇒ 1センチで約5.5kg/㎡
これを基準に瓦屋根の重さを積雪量に変えてみると
・66.8kg/㎡ ÷ 5.5kg/㎡ ≒ 12 で、約12センチとなります。
雪国仕様で建てられている当地の建物にとっては問題のないレベルだと言えるでしょう。
ちなみに、板金の重さは雪止めアングルなどの重量を入れると 約6kg/㎡ なので積雪量に直すと約1センチ。つまり、板金屋根の上に11センチの雪が積もるのとほぼ同じ条件になるのです。
ではなぜ能登地域において、あれほど瓦屋根の倒壊が見てとれるのか?
まず第一にあちらの地域では「犬小屋まで瓦!」と言われるほど、ほとんどの建物が瓦葺きです。加えて歴史を経た耐震基準を満たさない古い建物が多いため、あのような報道画面になってしまっているのです。
確かに上部が重いほど重心が高くなり、不安定性は増します。かといって瓦を軽い屋根材に変えれば安心かというとそうではありません。建物自体の強度によるものです。
たとえ軽い屋根材の建物でも、強度が低いものはこの画像のように倒壊してしまっています。